コンプライアンス違反事例 NO.02 トップの不祥事 (子会社からの不正融資)

【1】違反概要

 製造業B社の代表取締役元会長は、平成22年5月から平成23年9月まで、合計23回にわたり、同社の連結子会社7社の取締役等に指示して、適正な社内手続を経ることなく、元会長個人のマカオやシンガポールでのバカラ賭博で負けたお金を払うため、貸付金として、合計106億8000円を支出させた。

【2】発覚の結果会社が被った被害

 前会長は特別背任容疑で逮捕された。
元会長が事件発覚後、代表取締役を辞任したこと等に伴い、平成23年10月1日以降、B社の連結子会社37社のうち、28社が連結の範囲から外れ、9社に減ってしまい、B社の決算に悪影響をおよぼすことになった。

【3】考えられる原因

 創業者一族に絶対服従する企業風土があり、子会社の取締役などは口止めされると、取締役会の決議や貸借契約書の作成などを行なわなくても、多額の融資を実行していた。

【4】再発防止策

 1)B社グループに対する創業家の支配権を薄め、B社のガバナンスを強化する
 2)権限規定の見直しと、厳格な運用を徹底する
 3)社外取締役の経営への参画を行なう

【5】再発防止策を機能させる歯止め

 1)権限規定の運用監視を定期的に実施する。
 2)グループガバナンス強化の成果を定期的に監査する