
コンプライアンス違反事例 NO.01 トップの不祥事(巨額の損失隠し)
【1】違反概要
製造業A社が巨額の損失を「飛ばし」という手法で損益を10年以上の長期にわたって隠し続けた末に、これを不正な粉飾会計で処理した。平成10年から、元監査役と元副社長が中心となって投資による損失を移し替える「飛ばし」と呼ばれる不正が行われ、損失の受け皿になるファンドを海外に設立したり、国内ベンチャー3社の買収費を水増し損失を隠す工作をおこなった。こうしたさまざまな工作の報酬や手数料として、A社からは、証券会社元社員などに合わせて150億円が支払われたとされている。
【2】発覚の結果会社が被った被害
A社株は急落し、会長兼社長が辞任、会社の信用が著しく傷ついた【3】考えられる原因
A社の財テクは、証券会社元社員の指南の元で、社長直轄で行なわれ内容を知る者はごく一部に限られており、損失を隠し通せると思っていた様である。また、内部告発機能が正常に働かなかった。【4】再発防止策
1)一部の役員のみによる稟議での決済などの不順な処理を排除するため、権限規定の見直しと厳格な運用を社内に徹底する。2)社外取締役の経営への参画を具体的に実行する
3)本業以外の財テク運用に関しては、有識者による第三者会議などによる定期的なレビューを行なう。
4)内部告発が健全に処理されるよう、社内組織を見直す。
【5】再発防止策を機能させる歯止め
1)権限規定の運用監視を定期的に実施する。2)内部通報案件は、すべてリスク管理委員会にて内容を吟味し、適切な対応がなされているかを確認する。