コンプライアンス違反事例 NO.32 公務員の不祥事(領収書偽造)

【1】違反概要

 P市は児童手当の領収書を偽造するなど公金を不適切に処理したとして、生涯学習課の男性職員(係長級)を、減給10分の1、3カ月の懲戒処分にした。この職員は福祉健康課社会福祉係で児童手当の支給などを担当しており、市内の男性に支給する3回分、計6万円の領収書を偽造していた。

【2】発覚の結果当該自治体が被った被害

 市の調査に対し、男性は金を受け取っていないとしているが、職員は2件4万円について「支給したが領収書を紛失したため偽造した」とし、1件は「支給しようとして机の中に忘れていた」と話している。市は男性に謝罪して6万円を支給。職員は支給したとしながらも4万円を弁済した。市は職員の言い分を認め、着服はなかったとしている。
 市長は「公金処理には法律や手順を遵守するよう徹底したい」とマスコミを通じて陳謝した。

【3】考えられる原因

 当該職員は自分の職責の範囲であり、領収書を偽造しても発覚することは無いと考えていたのではないか。また結果的に、当該職員には着服は無かったとした市当局の甘い処分にみられるように、仲間をかばいあう組織風土があるのではないかと考えられる。

【4】再発防止策

 1)公金を扱う業務は、一人で担当するのではなく、必ず複数人が眼を通せる業務の流れとすることで、不正を発見できる仕組みにする。
 2)市民の税金を預かり行政を担っている意識を醸成させるため、あらゆる機会をとらえて、職員への意識付け研修を行なう。
 3)適宜、ローテーションなど職場の異動を行い、馴れ合いの組織運用を排除する。

【5】再発防止策を機能させる歯止め案

 1)内部告発など不正に気がついた職員が正すための行動がより行ないやすくなるような仕組み・体制を導入し、それらが正しく機能していることを定期的に市民に公表する。
 2)他の不正案件を含め、市民からのクレーム・告発を受ける窓口を設け、その状況を適切に市民に公表する。