コンプライアンス違反事例 NO.31 公務員の不祥事(通勤手当の不適切受給)

【1】違反概要

 N市は職員の通勤手当を2ヶ月間調査した結果、徒歩や自転車で通勤しているのに定期券代を請求したり、実際より定期代が高い経路で手当を申請し差額を受け取っていた職員など、通勤手当を不正に受給した職員が多数存在したと発表した。

【2】発覚の結果当該自治体が被った被害

 市財政へのインパクト自体は大きくは無いが、税金のムダ使いを平気で続け、また健全に管理されていない経費使用の実態に市民から多くのクレームが寄せられた。

【3】考えられる原因

 組織の中で慢性化していて、不正受給であるという認識が欠如していることが考えられる。みんな同種の不正をやっているという仲間意識から、不正に気付いてもそれを追求し正そうとする意欲が失われていると思われる。

【4】再発防止策

 1)規定に定められている通勤手当支給の原則を厳格に守るよう、通勤手当の申請を受ける上司の意識改革をはかる。上司も不正の同罪であり、犯罪であることを知らしめる。
 また悪質な場合は処分を行なうことを職員および上司に徹底する。
 2)市民の税金を預かり行政を担っている意識を醸成させるため、あらゆる機会をとらえて、職員への意識付け研修を行なう。
 3)適宜、ローテーションなど職場の異動を行い、馴れ合いの組織運用を排除する。

【5】再発防止策を機能させる歯止め案

 1)内部告発など不正に気がついた職員が正すための行動がより行ないやすくなるような仕組み・体制を導入し、それらが正しく機能していることを定期的に市民に公表する。
 2)他の不正案件を含め、市民からのクレーム・告発を受ける窓口を設け、その状況を適切に市民に公表する。