コンプライアンス違反事例 NO.21 (飲酒運転による交通事故)

【1】違反概要

 2006年8月25日に福岡市東区の海の中道大橋で、市内在住の会社員の乗用車が、飲酒運転をしていた男性K(22歳)の乗用車に追突され博多湾に転落し、会社員の車に同乗していた3児が死亡した。

【2】発覚の結果会社が被った被害

 一審の福岡地方裁判所は業務上過失致死傷罪のみを認定し、懲役7年6月とするが、検察が控訴。二審の福岡高等裁判所は危険運転致死傷罪を認定し、道路交通法違反と併合して懲役20年の判決を下したが、Kは上告した。最高裁は2011年10月31日、上告を棄却する決定をした。
また、Kの勤務先では、重大な社会問題となったことから、管理者の減給などの処分が行なわれた。

【3】考えられる原因

 1)ビール数本に焼酎数杯と、相当量の酒を飲んでいたにもかかわらず、正常に運転できると判断していたのだろう。供述では時速80Kmぐらい出していて追突していることから、飲酒の影響が大きいと思われる。
 2)九州男児に酒は付き物と語られる風土が有り、勤務帰りの飲酒が定常化していて、感覚的に麻痺していた可能性があるのではないかと思う。
 3)酒に飲まれて運転技術に影響を受けるはずが無いとの過信があったのではないか。

【4】再発防止策

 1)飲酒運転が悪であることは当然誰しも知っているが、近距離だからとか酒量が少ないから大丈夫などと、ついつい運転してしまうようである。従って、事故を起こさずとも飲酒運転が重大犯罪であることを認識させる必要がある(2007年道路交通法改正により、飲酒運転とひき逃げの罰則が強化された)。
 2)福岡市内では、仕事帰りの飲酒禁止が公言され、一定期間は飲酒運転が減少する効果が認められた。
 3)飲食店側の取り締まりや、飲酒運転の同乗者に対する罰則の強化などから、飲酒運転自体を撲滅させる機運が生まれた。

【5】再発防止策を機能させる歯止め

 酒飲みが男らしさの象徴のように取られるのを防ぎ、飲んだら乗るなの精神を官民上げて一人一人に浸透させる運動を行なう。